もの食う人びと(辺見庸)

もの食う人びと (角川文庫)

もの食う人びと (角川文庫)

辺見庸の冒険。「食う」ことから見えた世界。辺見氏の経験・見えたもの・感じたものが素直に描かれてる。

うーん、辺見氏のように頭ではなく経験して感情と向き合うジャーナリズムを持ちたいんだが、辺見氏のような躊躇なく現地に飛びこみ続ける勇気はないな。飛び込めてもこんなに素直な感覚でとらえられないよ、私なら。「食う」という事が壮大な物事であると気づき、それから広がる物語をどんな危険なアンダーグラウンドな場所でも実際に経験する。そして食らう。それが辺見スタイル。エグい部分もあるが、それも辺見スタイル。

「食う」の周りには、いろいろな物語が隠されている。「食」とは(時代・場所関係なく)偉大なのである。

[冒頭]
人びとはいま、どこで、なにを、どんな顔をして食っているのか。
あるいは、どれほど食えないのか。ひもじさをどうしのぎ、耐えているのだろうか。
日々ものを食べるという当たり前を、果たして人はどう意識しているのか、いないのか。
食べる営みをめぐり、世界にどんな変化が兆しているのか。
うちつづく地域紛争は、食べるという行為をどう押しつぶしているか
……それらに触れるために、私はこれから長旅に出ようと思う。